片岡義男さんが僕にオートバイを教えた

 僕が自動二輪の運転免許を取り、オートバイの世界に足を踏み入れたのは、片岡義男さんの小説がきっかけでした。

 地方都市から上京し、大学を卒業して、就職先会社の新入社員研修期間中に「スローなブギにしてくれ」に出合い、「彼のオートバイ、彼女の島」を読んだら、もう迷わずすぐにゴールデンウィークから東京都大田区蒲田の自動車教習所で中型自動二輪の運転免許を取得しました。

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 教習所では、臭い貸しヘルメットと貸しブーツを着用して、毎週末にめいっぱい教習時間を積んですんなりと合格しました。実技試験では、交差点の左折でステップをこすってしまったけど、お咎めなしだったのが意外でよく覚えています。

 そして中古バイク屋でYAMAHA XS250 Special というオートバイを買ったのです。空冷並列2気筒です。まるで羽が生えたように、伊豆や富士箱根、山梨、群馬から新潟、福島などあちこちを走りました。

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              BikeBrosより YAMAHA XS250 Special

 当時は横浜市戸塚区の独身寮に住んでおり、残業して深夜に帰寮してから、YAMAHA  XJ400に乗る同期の友人と箱根まで走り、缶コーヒーを飲んで帰ってくるようなこともありました。夢中でした。

 その後も片岡義男さんの小説はたくさん読みました。彼のオートバイ小説は、僕の人格形成に少なからず影響していることでしょう。

 結婚して4輪に乗り換えるまでわずか2年ほどでしたが、YAMAHA XS250 Special とともに過ごした濃密な時間は片岡義男さんの小説とともに忘れられません。

 

おしまい。